2011年05月15日

牧野ミヤさん

牧野ミヤさん
 子どもに読み聞かせ続け10年
一中を中心に活動する「紙ふうせん」
 芹沢作品選ぶメンバーも 特別な縁持つ牧野ミヤさん
牧野ミヤさん
 読み聞かせグループ「紙ふうせん」(笠井幸子代表)が、一中(森雅宏校長)を中心に読み聞かせの活動を行っている。同校では毎朝、授業開始前に二十分間の読書の時間を設けており、同グループは、この時間を利用して月に二回、生徒に読み聞かせしているが、そうした活動も、開始以来、約十年
になる。
 読み聞かせに使う本は、グループのメンバーが各自で選んでいるが、その一人である西条町の牧野ミヤさん(72)は、沼津出身の作家、芹沢光治良の作品を中心に取り上げている。牧野さんには、芹沢との間に特別なつながりがあるからだ。
 牧野さんの父、端山登さん(故人)は、沼津町立尋常小学校(一小の前身)に在籍。その時、芹沢は代用教員として同校に勤務しており、登さんは芹沢の教え子だった。旧制沼津中学校(東高の前身)を卒業したばかりの芹沢は、高等学校進学の学費を得るために教員をしていて、勤務時間はわずかだったが、登さんにとっては強く印象に残った教師だった。
 牧野さんは、芹沢についての思い出を登さんから聞いている。
 芹沢は体育が苦手で、教えるのも苦手だったため、体育の授業になると決まって子ども達を千本浜に連れ出し、皆で遊ばせていたという。また、登さんは日中戦争で出征中、戦地から芹沢と書簡のやり取りをしていた。
 戦後、二人は意外な場面で再会する。それは、NHKが昭和三十年代から四十年代前半にかけて放送していたテレビ番組「私の秘密」の企画として。それが契機となって二人の親交は再開した。
 登さんは芹沢より先に他界したが、葬儀では芹沢から弔電が届いたという。
 牧野さんは、一中の生徒達に読み聞かせをする際に、中学生でも分かりやすく、二十分の制限時間内に収まるような作品を芹沢作品の中から選んでいるが、その中でも特に愛着があるのは「野の花」という短編小説。
 この作品は、沼津市(作中では「A市」)の市歌の選定委員として沼津にやってきた芹沢が、小学校時代の同級生の女子「岡島はる」と再会するという筋立て。実話に基づいており、主要な登場人物も仮名ではあるが、いずれも実在した人。
 その中の一人、岡林よしゑさん(故人)は、「岡島はる」の娘で、牧野さんの恩師。後に小学校長になる。
 芹沢の作品は入手が困難なことが多く、牧野さんは読み聞かせ用の作品を探すために市芹沢光治良記念館にたびたび足を運ぶなど、苦労も多いという。それでも芹沢作品の読み聞かせを続けるのは、芹沢との不思議な縁ばかりではなく、「郷土が生んだ偉大な作家のことを沼津の子ども達にもっと知ってもらいたい」という強い気持ちからでもあると、意欲的に話した。
(沼朝平成23年5月15日号)


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Posted by パイプ親父 at 13:22│Comments(0)人物
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