2015年02月19日
勝又あすかさん(沼津市)
沼津仲見世商店街に
無料休憩所兼居場所を開設した
勝又あすかさん(沼津市)

中心市街地に年齢や障害にかかわらず誰でも利用できる場所「カフェつばき」を設けた。県の「ふじのくに型福祉サービス」の居場所の一つ。介護支援事業を展開するきずなグループの代表。沼津市出身。42歳。
ー開設した狙いは。
「シニア世代は社会への参加意欲は旺盛だが、足を運べる場所が少ない。高齢化の進展を見据えると、シニアがシニアを介護する時代が来る。お互いに助け合う共助の基盤を築きたい」
ー今後の展開は。
「特技を持つ人を講師に迎えてセミナーを開く。それが社会に参加する糸口になる。カフェ部分はNPO化して専門スタッフが対応できるようにし、福祉や介護の駆け込み寺にしたい」
ーなぜ福祉の道を志したのか。
「高校時代の米国留学で施設のボランティアをしたのがきっかけ。施設で働きながら大学で福祉を学び、大学院では感性教育を専攻した。福祉を変えたいと教壇にも立った。36歳で起業してから、地域密着の小規模多機能にこだわったサービス提供を心掛けている」
ー目指している活動は。
「にぎわい創出や大規模イベントも必要だが、福祉のまちづくりが大切と思っている。人と人が助け合って手をつなぎ、共に生きていく社会をつくりたい。年を取った時に寂しくないような地域にしたい」
◇
沼津の海でのスキューバダイビングが趣味。
(静新平成27年2月19日「この人」)
無料休憩所兼居場所を開設した
勝又あすかさん(沼津市)

中心市街地に年齢や障害にかかわらず誰でも利用できる場所「カフェつばき」を設けた。県の「ふじのくに型福祉サービス」の居場所の一つ。介護支援事業を展開するきずなグループの代表。沼津市出身。42歳。
ー開設した狙いは。
「シニア世代は社会への参加意欲は旺盛だが、足を運べる場所が少ない。高齢化の進展を見据えると、シニアがシニアを介護する時代が来る。お互いに助け合う共助の基盤を築きたい」
ー今後の展開は。
「特技を持つ人を講師に迎えてセミナーを開く。それが社会に参加する糸口になる。カフェ部分はNPO化して専門スタッフが対応できるようにし、福祉や介護の駆け込み寺にしたい」
ーなぜ福祉の道を志したのか。
「高校時代の米国留学で施設のボランティアをしたのがきっかけ。施設で働きながら大学で福祉を学び、大学院では感性教育を専攻した。福祉を変えたいと教壇にも立った。36歳で起業してから、地域密着の小規模多機能にこだわったサービス提供を心掛けている」
ー目指している活動は。
「にぎわい創出や大規模イベントも必要だが、福祉のまちづくりが大切と思っている。人と人が助け合って手をつなぎ、共に生きていく社会をつくりたい。年を取った時に寂しくないような地域にしたい」
◇
沼津の海でのスキューバダイビングが趣味。
(静新平成27年2月19日「この人」)
2015年02月16日
21世紀の資本
「21世紀の資本」ピケティ氏来日
格差の世襲化を懸念 累進課税で若者救済

先進国を中心に格差が注目されているのは、経済が低成長だから。全ての人の所得や資産が伸びていれば、格差は問題視されない」。300人を超える報道陣を集めた日本記者クラブ主催の会見でピケティさんは、本文だけで600頁を超す専門書が巻き起こしたブームをこう読み解いた。
低成長社会では所得が伸びず、過去に蓄積された資産の力が増すと指摘。一部の富裕層に発言力や影響力などの権力が集中し、社会の隅々まで不公正が浸透すると懸念し「極端な格差は民主主義を脅かす」と語った。
「従来の格差論は貧困層の比率に注目してきたが、『21世紀の資本』は上位10%の高額所得者に着目したのが新しい」。日本の格差論の第一人者で同志社大特別客員教授の橘木俊詔さんは、日仏会館主催の公開討論会でこう評価した。
「公的資産の民営化や金融の規制緩和が進み、巨額の投資ができる億万長者の富が急速に増している」と応じたピケティさん。所得よりも資産の格差が顕著な欧州や日本の現状を踏まえ「先進国は世襲社会に回帰しつつあり、この傾向は今後も強まる」と予測。「でも格差拡大は政策で制約できる」と持論を展開した。
教育や労働、企業統治など多彩な格差抑制策を列挙する中で「一番スマートで文明的」と評したのが、資産が大きいほど重税となる累進課税だ。
「固定資産税はあるのに金融資産に課税しない現代の税制は、資産といえば土地家屋しかなかった時代の旧弊」として刷新を提唱する。
ただ、富裕層が実権を握る社会で富裕層への増税が実現できるか疑問は残る。「格差は経済だけでなく政治の問題で、累進課税は国ごとの政治判断で導入できる。格差と課税の歴史を参照して民主的に議論すれば不可能ではない」と強気に語るが、異論もあるだろう。
日本の現状については慎重な物言いに終始したが、税率が一律な消費税の増税は格差拡大を助長すると一貫して批判。東京大での講義では、少子高齢化の影響で高齢者に遍在する資産への課税を強化し、資産形成が見込めない若年層の救済に充てる必要を訴えた。司会を務めた東大教授の石田英敬さんは「これから不平等を経験し、社会の公正や正義を考える若者にこそ重要な研究だ」。
優秀な大学の学生が冨裕層の子弟に独占されている米国の教育格差に触れたピケティさんは「21世紀の経済成長の鍵は平等な教育アクセスだ」と強調した。「富裕な東大生へのメッセージは?」との質問に「貧富にかかわらず社会に貢献しよう。民主主義社会の市民は、より良い世界の実現に向け最善を尽くす必要がある」と熱弁をふるった。
(静新平成27年2月16日朝刊)
格差の世襲化を懸念 累進課税で若者救済

先進国を中心に格差が注目されているのは、経済が低成長だから。全ての人の所得や資産が伸びていれば、格差は問題視されない」。300人を超える報道陣を集めた日本記者クラブ主催の会見でピケティさんは、本文だけで600頁を超す専門書が巻き起こしたブームをこう読み解いた。
低成長社会では所得が伸びず、過去に蓄積された資産の力が増すと指摘。一部の富裕層に発言力や影響力などの権力が集中し、社会の隅々まで不公正が浸透すると懸念し「極端な格差は民主主義を脅かす」と語った。
「従来の格差論は貧困層の比率に注目してきたが、『21世紀の資本』は上位10%の高額所得者に着目したのが新しい」。日本の格差論の第一人者で同志社大特別客員教授の橘木俊詔さんは、日仏会館主催の公開討論会でこう評価した。
「公的資産の民営化や金融の規制緩和が進み、巨額の投資ができる億万長者の富が急速に増している」と応じたピケティさん。所得よりも資産の格差が顕著な欧州や日本の現状を踏まえ「先進国は世襲社会に回帰しつつあり、この傾向は今後も強まる」と予測。「でも格差拡大は政策で制約できる」と持論を展開した。
教育や労働、企業統治など多彩な格差抑制策を列挙する中で「一番スマートで文明的」と評したのが、資産が大きいほど重税となる累進課税だ。
「固定資産税はあるのに金融資産に課税しない現代の税制は、資産といえば土地家屋しかなかった時代の旧弊」として刷新を提唱する。
ただ、富裕層が実権を握る社会で富裕層への増税が実現できるか疑問は残る。「格差は経済だけでなく政治の問題で、累進課税は国ごとの政治判断で導入できる。格差と課税の歴史を参照して民主的に議論すれば不可能ではない」と強気に語るが、異論もあるだろう。
日本の現状については慎重な物言いに終始したが、税率が一律な消費税の増税は格差拡大を助長すると一貫して批判。東京大での講義では、少子高齢化の影響で高齢者に遍在する資産への課税を強化し、資産形成が見込めない若年層の救済に充てる必要を訴えた。司会を務めた東大教授の石田英敬さんは「これから不平等を経験し、社会の公正や正義を考える若者にこそ重要な研究だ」。
優秀な大学の学生が冨裕層の子弟に独占されている米国の教育格差に触れたピケティさんは「21世紀の経済成長の鍵は平等な教育アクセスだ」と強調した。「富裕な東大生へのメッセージは?」との質問に「貧富にかかわらず社会に貢献しよう。民主主義社会の市民は、より良い世界の実現に向け最善を尽くす必要がある」と熱弁をふるった。
(静新平成27年2月16日朝刊)