2008年08月28日
鈴木正美さん(沼津市)
沼津の鈴木さん 「夢与えた船忘れないで」
スカンジナビア沈没から2年「優美な姿 模型で再現」

沼津市西浦に係留され三十六年にわたり海上レストランとして親しまれた客船スカンジナビアが平成十八年九月二日、修復のため上海へえい航中、和歌山県沖で沈没してから間もなく二年。欧州での現役時代には"七つの海の女王"とたたえられた優美な船の姿を、同市下香貫の塗装会社社長鈴木正美さん(六三)が百分の一の模型で再現し、沈没の日を前に今月から一般に公開している。
模型は全長一・二七㍍。船体はスギの丸太を削り出し、細かいパーツはヒノキの端材を加工。滑車など一部の部品以外はカッターナイフ一本で手作りし、シリコン、ウレタン樹脂の塗装を何重にも施した。昨年末から五カ月かけて制作した。
鈴木さんは元船員。旧満州に生まれ、母親の郷里の沼津市で育った。国立清水海員学校(現国立海上技術短期大学校)に学び、川崎汽船や日本郵船で国際航路の船員として世界を回ったが、二十三歳の時、病気で退職を余儀なくされた。
その後、沼津市で会社を興したが、船への愛着は変わらず、スカンジナビアには子供や孫と頻繁に足を運んだ。「年末に伊豆方面へ行く際には決まって立ち寄り、自分の船員時代や現役のころのスカンジナビアに思いをはせた」という。
船の模型は船員時代に先輩をまねし見よう見まねで作ったのが最初。七年ほど前、友人の息子の大学入学祝いに移民船「あるぜんちな丸」の模型を作ったのをきっかけに再開し、これまでに十隻ほど制作してきた。
鈴木さんは「スカンジナビアは細部が凝っていて、船主の思い入れが伝わる船。資料が少なく、写真や記憶を頼りに作ったこともあって難しかった。多くの人に夢を与えた船の存在を忘れないでほしい」と話す。
模型は九月上旬まで、同市西浦の喫茶店「海のステージ」に展示している。問い合わせは同店〈電055(946)2800〉へ。
(静新平成20年8月27日夕刊)
Posted by パイプ親父 at 10:02│Comments(0)
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