2011年12月02日

沼津の人形作家・甲田園枝さん

 沼津の人形作家・甲田園枝さん
主人公「洪作少年」木目込み人形に
 井上靖氏の幼少期投影 しろばんば 夏草冬濤
沼津の人形作家・甲田園枝さん
 沼津市の人形作家甲田園枝さん(67)が、文豪井上靖氏の代表作「しろばんば」「夏草冬濤」の主人公、洪作少年をかたどった2体の木目込み人形を制作した。1日、同市干本の甲田さんの工房でお披露目した。
 桐の木型に布を張って約1年がかりで仕上げた人形は、餅を手にどんど焼きに出掛ける幼少の洪作少年と、学帽をかぶり弁当箱を手にする旧制沼津中(現沼津東高)時代の姿を表現した。それぞれ25㌢と30㌢の大きさで、かすりの着物のひだや手足の指など細部まで精巧に仕上げた。
 近年、伊豆の踊子やお吉など、伊豆地域ゆかりの人物像を創作の一つのテーマにしてきた甲田さん。4作目となる今作品の制作に当たっては、井上氏の自伝的物語とされる二つの小説を何度も読み返した。井上靖文学館(長泉町)を訪ね、幼い頃の井上氏の写頁や文献などの資料を参考にしたほか、井上家の旧居跡などがある伊豆市湯ケ島地区も散策し、イメージを膨らませた。
 「小説に登場する湯ケ島や沼津市内の光景は、時代が変わっても今もその面影を残している。元気に駆け回る洪作少年の姿が目に浮かぶようだった」と振り返る。今年は井上氏の没後20年でもあり、「再び名文学に親しむきっかけになれば」と思いを込める。
 同日は横浜市に住む井上氏の次女黒田佳子さん(66)も駆けつけ、松本亮三文学館長や湯ケ島地区のゆかりの人々とともに作品を鑑賞した。「父はしろばんばを含む3作品に故郷への思いを込めたと感じている。幼い洪作人形からは、湯ケ島を離れる前の憂いの表情が感じられますね」と目を細めた。
 工房での披露は今月5日まで、来年1月6日から井上靖文学館で展示する。
(静新平成23年12月2日朝刊)


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Posted by パイプ親父 at 11:59│Comments(0)作家
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