2012年10月16日

「市長選立候補予定者に聴く」栗原裕康氏

「市長選立候補予定者に聴く」
 今後四年間の市政の舵取り役を選ぶ市長選挙は、二十一日告示、二十八日投開票で行われる。今回選挙には現職と新人三人の合わせて四人が立候補を表明。前回選挙と同じ立候補予定者数となっているが、どのような考えで立候補を決意し、市政には、どのように臨もうというのか、四人に聴いた。四回にわたり、現職、新人(五十音順)の順に掲載する。

①  栗原裕康氏
「市長選立候補予定者に聴く」栗原裕康氏
 昭和二十三年十二月、静岡市生まれ。六十三歳。一中、東高、慶應義塾大学経済学部を卒業。三光汽船勤務後、防衛庁長官、労働大臣などを務めた父、祐幸氏の秘書を経て平成三年、沼津市選挙区から県議選に出馬し当選した。
 平成五年の衆院選(中選挙区)で祐幸氏引退の後を受けて出馬し当選。小選挙区に変更後の選挙区選挙での当選は果たせなかったが比例で当選。十二年まで代議士を務め、この間、防衛政務次官(当時)に就いた。
 平成十二年から十五年まで日本大学国際関係学部非常勤講師、十六年から二十年まで新仲見世通りでマグロ丼店経営および社会福祉法人育清会特別養護老人ホーム柿田川ホーム理事長。
 平成二十年十月の市長選に出馬して当選。現在一期。
 今回選挙へは市議会二月定例会本会議で質問に答えて二期目への挑戦を表明。動機については「一期四年やらせていただき、これでいいという気持ちではない。まだまだやることがいっぱいある」と語る。
 その四年間を振り返り、「一番最初に取り組んだのがイーラde。経営改善は、まあ、できたと思う。随分良くなった。それから行政改革で事業仕分けを三回やった。これは永遠の課題だから、これでおしまいということはないが、随分進んだと思う。環境政策もいろいろと進行中だ。あとは継続の案件がいっぱいある。医療費の公費負担について通院と入院は中学三年、入院は高校までやった」。
 栗原市政の目玉の一つとして始めた環境を大切にするまちづくりについては、「まず、沼津の森づくりを始めた。今年、三回目をやった。市民組織の『沼津の森づくり実行委員会』も出来た。まだまだ市民の皆さんの認知度は低いが、宮脇昭先生(横浜国大名誉教授)の指導で続けている。(同様の取り組みで)三回続けてやっているところはないようで、ある程度は進んでいると思う。ほかにエコドライブコンテストとか、エコ活動コンテストというのをやっている。また、『ぬまづの宝一〇〇選』で市民に沼津の良さを認識してほしい」。
 これは二期目への挑戦でも掲げるテーマで、「行政改革と環境は一期四年で簡単に変われるものではない」と改めて決意を見せる。
 職員の意識改革も就任以来言い続けているもので、「市の職員には、俗に言う『お役所仕事』というところがある。縦割り行政が指摘されるが、隣の課がやっていることはあまり気にならない。それから前例踏襲。『前例がない、予算がない』と言って断る。それから身内に甘い。情報をあまり出したがらない。というようなところがある。これは沼津市役所に限らず、どの役所も共通している。県庁だってそうだし、国もそうだ。そこに少しでも風穴を開けていかなければいけないというのは私のモットーで、そのためには何をしたらいいのかというのは、少なくとも職場の雰囲気が、言いたいことを言って大いに議論できるものでなければ。よく私は『風通しの良い職場づくり』と言うが、自分も含めて自由にものを言って、互いに議論を尽くしてより良いものを目指していくという雰囲気が出来てくれば方向性としては悪い方向にいかない。今までは、どちらかと言うと上の言うことは黙って聞く、言われたことだけやればいいという雰囲気があったのかも知れない。その点は少し改善されているのではないか。以前の時代との比較はできないが、人からは、職員が生き生きとしてきた、というような話も時々聞くので、いいのかな、と思っているが、もっともっと(風通しよく)していかなければいけないなと考えている」。
 最近特に、「魔法の杖はない。いろいろなことをやる」ということを口にする。その真意について、「『沼津自慢フェスタ』は今年で三年目だったが、去年までの二回はどちらかと言うと役所主導だった。(今回は)まちなかで一生懸命やっている若い人達に実行委員会を作ってもらい、彼らの人脈で企画運営が行われた。結果として大成功だった。それが、これからの、そのいろいろなことをやっていくということの大きなヒントなのだろう。もっと露骨に言うと、栗原が市長でいる限りは若い人達や、よそから来た人達、突飛なことを考える人達が、いろんなまちおこしのアイデアを持ってくると、栗原が市長でいる限りは、もしかしたら、それが実現できるかも知れないと、自分達が考えていることが(実現する、あるいは)自分達に任せてくれる、そういう雰囲気が出てくれば非常にありがたい」。
 「つまり、役所が何でもかんでもやるというのではない。もう民間で、いろいろな意見を持っている方はいっぱいいる。そういう人達のアイデアを生かしていくということ。もちろん最終的な責任は私にある。けれども、沼津市役所は今まで個々で言いに行っても、前例がないとか、予算がないとか、と断ってきたものが、本当にいいものだったなら実現するかも知れない、そういう雰囲気が、まちなかに出てくれば、特にまちおこしをしようとしている人達に出てくれば、ものすごい起爆剤になるのではないか」
 いろいろなことをやるためのハード面も考えているのかについては、「新しい公共投資はもうできない。今、継続(的事業)だけで手いっぱい。これで鉄道高架が本格的に動き出すことを考えたら、地区センター(建設)だけは早く終わらせたい。それから防災も。これは行わなければいけない。あとは、いかにお金を節約し、金は出さないけれど皆でアイデアを出していくということしかない」。
 沼津では二代、十八年間にわたって官僚出身者が市長を務めたが、今回の選挙では逆に、民間での経験を掲げて出馬表明した人もいる。それに対して栗原氏の代議土経験が市政に反映された部分については、「国政をやってきたというのは、ある意味では大局的に、沼津市だけに絞った考え方ではなくて、(周辺自治体を含めた)この地域全体、国全体の動きがどうだから沼津はこうだ、ということは割と見やすい」という。
 そのうえで、「子育ては長泉」「清水町の方が税金が安い」などと言われる点について、「『沼津は住みにくい』『津波が来る」』『税金が高い』などということも言われるが、一つ一つ検証してみると、そんなことはない。この地域全体として、人口が減らなければいいのではないかと思う。そのことは、いつか分かってもらえるのではないか。例えば子どもが幼稚園、小学校低学年までは長泉で、中学校ぐらいになってくると、やはり沼津で、と沼津に来る人がいるかも知れないし、現に今もいる。そういう意味では、あまり一喜一憂しない方がいい。これは企業もそう。有名企業が市内から出ていくと大騒ぎするが、沼津市役所も(職員が)随分、市外から通ってきている。この地域全体がおかしくなってしまうようなことがあれば大問題だが、沼津だけで、なんでも抱えるという考え方は間違っているのではないか」という考え方を示した。
《沼朝平成24年10月16日(火)号》


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Posted by パイプ親父 at 05:31│Comments(0)政治
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