2009年04月04日

佐野光治氏(さの・みつじ)

県中小企業団体中央会会長
 佐野光治氏(さの・みつじ氏 1955年旭洋工業製作所社長、2008年会長。長泉工業団地協同組合理事長。1966年から県中小企業団体中央会理事を務め、96年副会長、今年1月から現職。85歳。)佐野光治氏(さの・みつじ)
 下請け脱却へ技術磨け
 中小企業経営景気悪化が直撃
 米国の金融危機に端を発する世界規模の景気悪化は昨秋以降、国内外の自動軍や機械、家電をはじめとする大手企業を揺さぶり、日本のものづくりを下支えしてきた県内中小企業の経営を直撃している。この難局を乗り切るには、中小企業が下請け稼業を脱却し、自社製品で勝負していく姿勢やイノベーション(変革)が必要と訴える。
 ー中小企業の現状をどのようにとらえていますか。
 「大変な時代に入った。昨年九月ごろまで自動車関連の業種などで生産が間に合わない企業もあったが、十月以降は急激に仕事量が減り、石油危機やバブル崩壊を上回る規模で中小企業を苦しめている。中央会の景況調査で、売り上げ減少とともに、一時は回復基調だった設備投資意欲も低下している。金融機関の融資姿勢も引き締めが顕著で、資金繰りはますます厳しくなるだろう」
 ー中小企業の経営者が今取り組むべきことは。
 「景気の大波に翻弄(ほんろう)される下請け稼業から脱却する時期がそこまで来ている。親会社からの図面に頼る仕事ではなく、自社製品で稼ぐという姿勢が必要。今の技術を発展させてできる製品やサービスを開拓し、異業種連携を手掛ける必要もある。そのためには新しい技術を生み出すイノベーションを起こす力が欠かせない。中小企業は規模が大きくないからこそ可能な決断と行動の速さが強みのはず。仕事を立派にこなしていても、判断が遅くてはいけない」
 ー多くの企業が減産に伴って人員削減を進め、雇用のバランスが悪化しています。
 「景気は良いときも悪いときもあるもので、企業はその中でも存続することに意義がある。中小企業にとって従業員それぞれが持っている知識・技術が宝で、人材育成や技能継承が最重要課題だ。従業員の生活、家庭を守るのも経営者の手腕で、内部留保を減らしてでも従業員を守るべき。この一年、業績をどうにか保って次の展開を探っていく。一年乗り切れば、環境が変わり、打つ手も変わってくるだろう」
 ー今、中央会が果たすべき役割は。
 「仕事がなくては企業は立ち行かない。固有の技術や優れた特殊技能を掘り起こして伸ばし、新たな受注に結び付ける支援策が必要だ。ものづくりに限らず、他社や金融機関などへのプレゼンテーション能力も経営者が身に付けるべきで、中央会は組合や企業経営の細部まで面倒を見る指導機関でありたい。緊急保証枠も拡大されたので、金融機関に迅速な融資への協力を求めていくなど組合の団結力を発揮し、地域経済の発展のために力を尽くしたい」
(聞き手=東部総局・金原一隆)
(静新平成21年4月4日「本音インタビュー」)


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Posted by パイプ親父 at 14:40│Comments(0)人物
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